事業承継の基礎知識

アパレル業界の市場動向

 

 

業界定義

アパレル業界とは、衣類の製造、流通、販売を扱う業界のことを指します。

アパレル業界の歴史は長く、メーカー・卸売業・小売業の間での垂直統合が多いことが特徴です。

メーカーや卸売業が経営する小売業もあれば、小売業でありながら商品を企画製造まで行うSPAと呼ばれる業態もあります。

今回は、衣料店のうち、メーカーや卸売業から商品を仕入れ、店舗にて販売するアパレル小売業について説明します。

 

商流

アパレルの生産、流通工程は以下の4段階に大別できます。

  • 「糸メーカー」
  • 「生地メーカー」
  • 「服の生産・卸売」
  • 「小売」

これらは、川の流れにたとえ「川上・川中・川下」の3段階で表示することもあります。

 

事業特性

  • ①ファッショントレンドに左右されやすい
  •  

    衣料品は、年によって売れ筋商品が異なるなど、流行に左右されやすいという特徴があります。

 アパレル業界においては、「トレンドを知ること」、「次の流行を読むこと」が重要です。

  • ②商品に季節性があることにより値引販売や売れ残り在庫が発生する

 取扱商品は、「春夏物」と「秋冬物」に大別されます。「秋冬物」の方が単価、売上高ともに高いです。

 販売シーズンは、プロパー時期とセール時期とに分けられます。

  • ③商品ライフサイクルが短く在庫リスクが高い

 衣料品はファッショントレンドに左右されやすく、季節性のある商品です。

 つまり、商品ライフサイクルが短く、在庫の陳腐化リスクが高いです。

 したがって、仕入れを行ったシーズンで可能な限り在庫を販売(消化)する必要があります。
 一方で、顧客ニーズに幅広く応えるためには、複数の色・サイズの在庫を保有する必要があり、これらの販売に偏りが出ると在庫不足、過剰在庫が発生することになります。仕入計画・管理を適切に実施することが非常に重要なポイントとなります。

  • ④バーゲン販売

 可能な限りシーズン中に商品を消化するため、夏・冬にそれぞれバーゲン販売を実施することが一般的です。

 

主な事業者

会社名 決算期 売上高 当期純利益
株式会社ファーストリテイリング 2016年8月 1,786,473 48,052
株式会社しまむら 2016年2月 547,022 24,747
株式会社ワールド 2016年3月 278,214 743
株式会社オンワードホールディングス 2016年2月 263,516 4,278
株式会社アダストリア 2016年2月 200,038 9,122
株式会社TSIホールディングス 2016年2月 167,211 1,391
株式会社ユナイテッドアローズ 2016年3月 140,919 6,494
株式会社パルグループホールディングス 2016年2月 114,110 3,288
株式会社ライトオン 2016年8月 86,462 1,754
イトキン株式会社(非上場) 2016年1月 85,573 ▲9,344

(単位:100万円)

業界分析

  • 顧客・消費者

人口減少や消費者の低価格指向により、市場は横這いで推移しています。
販売チャネルは多様化しており、インターネット通販は好調が続く中、百貨店等従来の販売チャネルは低迷が続いています。

また、 SPA(製造小売業)にみられる小売業の川上進出など、バリューチェーンを超えた相互進出が行われ、競争は激化しています。

 

「H&M」「ZARA」「GAP」など、低価格であることやファッション性を追求し、短サイクルで販売する「ファストファッション」と呼ばれるブランドが台頭してきており、ファッション性の高く、低価格の「お手頃」な商品が消費者に支持されています。

これらのブランドはSPA(製造小売業)と呼ばれる業態であり、コストの安い海外地域での大量生産を行っている為、日本での外衣生産量は減少傾向となっています。
ファストファッション業界の今後の課題として、低価格だけではなく着心地や品質の向上が求められています。今後の成長として、消費者に向けて飽きない商品プロモーションを提案し、アピールしていくことが重要です。

 

  • 仕入れ

衣料小売業は、卸売業者を通じて複数のメーカーの商品を仕入れることにより、ファッショントレンドに対応した柔軟な品揃えが可能となります。

卸売業界は市場が縮小する中、競争が激化しており、企業数は減少しています。
大手アパレルメーカーは、商品企画機能、素材手配機能、生産管理機能、川下の小売企業への販売機能(卸機能)をもっており、また、SPAと呼ばれる製造小売業態といった、小売りの川上進出が行われるなど、業界内参入が起こり、競争力のない卸売業者は淘汰される傾向にあります。

 

  • 競合・代替品

婦人・子供服小売り業の事業所数は1998年~2014年の年平均成長率マイナス0.8%と減少傾向であり、男子服小売業の事業所数についても1998年~2014年の年平均成長率マイナス2.7%と減少傾向となっています。
大手SPAや大手アパレルは、低価格化や多店舗展開により高付加価値を打ち出しています。また、ブランド拡充の為にM&Aを行っている。その為、付加価値を打ち出せない事業者の淘汰が行われています。
収益を伸ばすべくグローバル展開に注力を入れ、成功している企業も出現してきました。大きな収益を得るためには海外展開も視野に入れる必要があります。

 

 

M&A動向

インターネットの急速的な進化もあり、ネット通販によるビジネスが欠かせない流通ツールとなってきたため、アプリ開発等のWeb販路拡大のためのM&Aが増加してきています。

ICT技術やAI技術の活用により、商品の流通だけでなく接客にもITを活用するサービス開発が活発化してきています。

また、市場シェア率がファストファッションブランドに対応するため、ブランド力強化、事業規模の拡大を目的としたM&Aが多く、今後はさらに、消費者のニーズを的確にとらえた商品企画力を持った、また、商品販売体制を確立した企業が生き残りうる市場になってきています。

 

 

M&Aのポイント(買い手目線)

譲受企業からみたとき、M&Aにおいては以下の項目が重要となります。

 

【店舗運営】

・店のコンセプト(商品構成、価格設定、ターゲットとする顧客層、店舗内装)は他社と差別化できているか。

・計数管理(店舗ごとの損益管理、顧客単価等)がなされているか。

・店員のコーディネート提案力はどうか。スタッフ・店員の商品知識や接客態度はどうか。

 

【商品、店員の品質、顧客・在庫の管理体制】

・在庫の動きを注視し、適正な在庫になっているか。また、季節ごとの仕掛品に年間を通じて変化があるか。

タイミングよく見切販売を行い在庫増防止等に努めているか。

・生産性として従業員の教育制度や人間関係を適切に管理し、モチベーション向上のための施策を講じているか。

・顧客管理として、顧客リストや顧客データベースを整備・活用し、リピーターを確保できているか。

 

【経営】

・季節性の高い業種であるため、資金計画を的確に行っているか。

・滞貨資金、赤字補填資金に流用されていないか。

・キャッシュフロー分析として店舗単位でキャッシュフローを悪化させる要因はないか。

・不自然な運転資金が発生していないか。収益増大のための設備資金ニーズはないか。

・収益性の要因分析ができているか。粗利率であれば、値下げ率、プロパー消化率、評価損などの要因を分析し、課題を認識しているか。

 

 

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