【M&A手法】会社分割とは??
こんにちは。
先週まで株式譲渡、事業譲渡に関して説明し来ましたが、
今日はM&Aの手法のうち、会社分割について、その概要や使われ方、特徴などをお伝えし、
どんな手法なのかイメージを持っていただければと思います。
会社分割というと、中小零細企業で使われることは滅多にありません。
なぜ使われないかというと、
まずカーブアウト(切り出す)する事業セグメントが一定規模、組織化されていないため、事業譲渡で十分だからという理由もあるかと思います。
会社分割は、「会社の分割」なので、会社を分けることを意味します。
つまり、譲渡する事業を有機的一体として分割し、その対象事業を譲渡ないしは清算等をすることになります。
では、事業譲渡との違いは何かあるのでしょうか?
中小企業のM&Aでは、圧倒的に会社分割よりも、事業譲渡が多いです。
結論から言うと、さまざまなところで違いがあります。
例えば、下記をご覧ください。
事業譲渡 |
会社分割 |
|
会社法の組織再編行為か否か |
該当しない |
該当する |
契約関係 |
個別承継 |
包括承継 |
債権者保護 |
個別同意 |
原則、債権者保護手続が必要 |
簿外債務の引継ぎリスク |
原則として無し |
有 |
許認可 |
再取得が必要 |
自動的に承継 |
従業員 |
個別同意 |
包括承継 (但し、労働者保護手続きが必要) |
税制 |
時価取引として 譲渡損益が発生 |
税制適格:譲渡損益の繰述 税制非適格:時価取引として譲渡損益の発生 |
先日、某IT企業による川上への進出を目論み、要件定義や企画設計をコンサルする譲渡会社を
銀行などの金融機関周りのシステム受託開発に強みがあるITベンダが譲り受けたM&Aをお手伝いしましたが、
こちらもシステムコンサルティング事業を譲り受けた事業譲渡でした。
本件は、譲渡対象の従業員が実質1名で、
ノウハウやスキル、当該従業員に紐づいたクライアントを一挙に譲受会社に移す転職に近い案件ではありましたので、
会社分割でサポートする必要はありませんでした。
確かに、会社分割は組織再編として事業のポートフォリオを整理するうえでは大変有効ではあるものの、
冒頭にも記載した通り、一部の大企業による話です。
例えば、協和銀行と埼玉銀行が合併して協和埼玉銀行が誕生、更に行名をあさひ銀行と変更しましたが、
あさひは会社分割で旧埼玉を切り出して埼玉りそな銀行を設立、のこったあさひ(=協和)がりそな銀行と統合したケース、
モビットによる、実質的な経営権の移動に伴い、カードローン事業は譲受先である三菱東京UFJ銀行の同部門と統廃合を実施し、
新ブランドを立ち上げて再出発したケースなどはあります。
また、新設と吸収、分社型や分割型などと細分化することができ、そのケースによって適切な会社分割の選択が迫られます。
事業モデルと目的、法務・税務等、あらゆる効果・側面から、何が最適であるのか、
M&A手法を選択するときは注意が必要です。
ご不明点や気になることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
ご連絡お待ちしております。