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コラム事業継承コラム

会社経営における株式分割のメリット・デメリットと、その手続とは?

株式の分割とは

株式会社は、株式の分割を行うことが可能です。例えば、株式の分割を行う場合、1株を5株や10株に分割するなどして、発行済株式総数を増やすことができます。

発行済の株式総数が1000株である株式会社が、株式分割によって1株を10株にしたときは、発行済株式が9000株増加し、総数は1万株となります。

通常、株式分割を行う場合、発行済株式の全てが分割の対象となるため会社自身が所有する自己株式も分割比率に応じて増加します。

種類株式の株式分割も可能

株式会社には、普通株式以外に、「権利の内容が異なる株式」である種類株を発行することができます。普通株式以外に、種類株式を発行している株式会社では、種類株式だけを分割したり、発行している種類株式毎の分割比率を変えた株式分割を行うことも可能です。

普通株式を1000株、A種類株式1000株を発行している会社が、普通株式についてのみ1株を10株に分割したり、普通株式については1株を10株に分割してA種類株式については1株を5株に分割したりすることが可能です。

この場合、前者の分割後の発行済株式は普通株式10000株、A種類株式1000株となり、後者では普通株式10000株、A種類株式5000株となります。

この場合、A種類株式にとって不利な条件となるため、A種類株主によるA種類株主総会の特別決議が必要となります。

 

株式分割はどういう意味があるのか?

このような株式分割が使われるのはどういうケースなのでしょうか?

一つ目のケースは、発行済株式数が増えることで投資家にとって売買をしやすくし、株の流動性を高めたい場合です。これは、例えば株価が高い状態であまり売買がされなくなっている企業の場合に、流動性を高めることで株価の上昇と、資本を増やすことを目的としています。

2つ目のケースとしては、株価を安くすることで、より多くの人にその企業の株を購入する機会を与えたい場合です。つまり、その企業の株に投資する人を増加させたいようなケースです。

今まで株価の高い状態では、目を向けていなかった投資家たちの注目を集めることができるるようになるでしょう。それによって、分割前よりも、全体としての資産が増加することが可能となります。

一方、経営サイドではなく投資家側のメリットというと、まずは配当金があります。株式を保有していれば配当金を受け取ることができますが、配当金額を据え置いた場合、その分配当金を受け取る株数も増えることになります。したがって、トータルでの株の資産価値は変わらないものの、配当金は増えることになります。また、今まで保有していた株数が増えることとなるため、一部を売却し、一部を保有し続けるといった運用の自由度が高まるというメリットもあります。

 

株式分割の手続きは?

 

それでは、具体的な株式分割の手続きを見ていきましょう。

株式分割をするために必要な決議は?

株式分割には、会社法にのっとった決議が必要となります。

具体的には、

取締役会設置会社  ▶ 取締役会の決議

取締役会非設置会社 ▶ 株主総会の普通決議

がそれぞれ必要です。

株式分割の決議内容としては、株式の分割により増加する株式の総数の、株式の分割前の発行済株式(種類株式発行会社にあっては、分割する株式の種類の発行済株式)の総数に対する割合、株式分割の基準日、株式分割の効力発生日、分割する株式の種類等を決める必要があります。

「株式分割」に関する会社法の規定は、次のとおりです。

 会社法183条(株式の分割) 

1. 株式会社は、株式の分割をすることができる。

2. 株式会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。

① 株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式(種類株式発行会社にあっては、第三号の種類の発行済株式)の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日

② 株式の分割がその効力を生ずる日

③ 株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類

発行可能株式総数の拡大

「株式分割」によって、発行可能株式総数を超える株式数となるときは、発行可能株式総数を拡大する定款変更が必要となります。

この場合、株主総会の特別決議を得て、定款変更を行いますが、これでは「株式分割」が非常に利用しづらくなります。

そこで、複数の種類の株式を発行している場合を除いて、「株式分割」の割合を乗じた数の範囲で発行可能株式総数を増加させる場合には、会社法184条2項により、取締役会決議によって定款変更が可能となります。

会社法184条2項(定款変更の特則) 

株式会社(現に二以上の種類の株式を発行しているものを除く。)は、第466条の規定にかかわらず、株主総会の決議によらないで、前条第2項第二号の日における発行可能株式総数をその日の前日の発行可能株式総数に同項第一号の割合を乗じて得た数の範囲内で増加する定款の変更をすることができる。

株式分割と基準日

株式分割をするときは、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときを除き、当該株式分割に係る基準日を定める必要があります(会社法第124条、183条)。そして基準日を定めたときは、その2週間前までに基準日及び分割比率などを公告しなければならないとされています。

官報で公告を出す場合、掲載までは申込から約1週間はかかりますので、株式分割のスケジュールを組むときは考慮に入れる必要があります。

定款に基準日を定めるケース

あまりないケースですが、定款に株式分割に係る基準日が定められている場合、株主総会の特別決議によって定款を変更することにより、定款に基準日を定める方法があります。

この方法によれば、公告を出す必要がないため、株主全員の協力を得られるのであれば株式分割を1日で行うことも可能です。

効力発生と端数処理

「株式分割」の効力発生日に、基準日に株主名簿に記載または記録されている株主が、基準日に有していた株式に、分割比率を乗じた数の株式を自動的に取得します。

「株式分割」によって、1株に満たない端数が生じる場合には、株式会社は、その端数を合計した数の株式を、次の競売その他の方法によって売却し、売却によって得た代金を、端数の株を所有する株主に渡します。

  • 競売
  • 市場価格のある株式:市場価格で売却
  • 市場価格のない株式:裁判所の許可を得た競売以外の方法

 

株式分割の登記に必要な書類

一般的に株式分割の登記に必要となる書類は以下のとおりです。

  • 取締役会議事録または株主総会議事録・株主リスト
  • 登記委任状

また、株式分割の登記申請に係る登録免許税は3万円です。

 

M&Aにおける株式分割の活用は?

M&A、特に敵対的買収防止のために個人株主を増やす目的で株式分割が用いられることがあります。株式分割をして単位株を購入しやすくなると、資金が限られている個人株主も購入が可能となるため、個人株主の数が増えていきます。

個人株主が増えるということは、それだけ議決権を持つ人が多くなるため、会社売却や、敵対的なM&Aを行う側のコストが高くなり、こうしたことを抑止力になるのです。外資系ファンドなどからのM&Aが持ちかけられた場合であっても、個人株主からの株式回収というのは困難なため、それだけ自分たちに有利ではない売却案というのは拒否することができます。

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